骨まで愛して〜ハッピーバレンタイン〜
「…ちょっと…いつまで抱きついてんのよ」
「…あっ…ごめん、つい。」
…つい?
何よ『つい』って
ついついやっちゃうの?こんなこと
他の誰かにも…
「…もう、いい」
「…いいって何が?」
…上目遣いでみるな、男のくせに
捨て犬みたいな目に、一瞬ひるんだけど、視界にピンクの紙袋がチラついて、制御不能な気持ちが溢れた。
「いいって言ったらいいの!もう知らないっ。あんたなんかチョコと一緒に骨まで食べられちゃえ」
身体を離そうとした私の足が、雪にハマったブーツから脱げた。
「っ!」
覚悟を決めて強張らせた身体は、着地寸前でダッフルコートのクッションに落ちた。