骨まで愛して〜ハッピーバレンタイン〜
「痛たた…」
下から聞こえるコウタの声
「ちょっと何やってんのよ」
「…助けてあげたのにそりゃないよ」
「だって、だって、か弱いくせに…、びしょ濡れになっちゃうじゃない、これから出掛けるのに…」
自分でも何言ってんのかわかんない
それなのに、下敷きになったまま笑顔を向けるコウタにホッとしたりして…
…もう…こんなことになるなら、張り込みなんてしなきゃよかった…。
自己嫌悪に揺れる私の目に涙がたまったら、今度はコウタが困る番。
「うゎっ…ちょっ、何で泣くの?僕何か困らせること言った?」
首を横に振るだけの私に慌てながら下敷きになったままのコウタ
「…ごめん。でも、あんたがチョコなんか作ったりするから…」
コウタが不思議がるのも無理はない、言ってる私だって何を言いたいのかわかってない、
でも止まんない
「気に入らなかったの!だから意地悪してやろうって思っただけ」
「………」
無言で下を向いたコウタに、怒ったかもとか、嫌われたかもとか、そんな気持ちが頭を占領する。