鬼姫
気づけば海が見える
崖の上に立っていた……。
一歩一歩、海に
近づいて行った…。
もぅ少しで
あたし…
死ぬんだーー。
そのとき
「希美ー!!!」
向こうから友里が
スゴい勢いで
近づいてくる。
ーそしてーー
ーーバシンッーーー
友里にタタかれた
ホッペが熱い…。
あたし……
生きてるんだと思った。
そのとたん、あたしは
大泣きしてしまった。
『ぅわぁ~ん』
記憶を失ってから
初めて泣いたーー。
友里に抱きつきながら。
友里はあたしが
泣き終えるまで
ずっとそばにいてくれた。