Nightの誘惑
夜、私は一人あの店に向かった。


連チャンなんて有り得ない私が…

俊介さんに会いたくてバーのドアを開けた。



「いらっ…しゃい…」

歯切れの悪いマスターの挨拶を聞き流し、私はカウンターのイスに腰を下ろす。


「ビールちょうだい」

「ヨウ…?頭打ったか?」

私をガン見しながら毒を吐くマスター。

「失礼ねぇ。私が来たらマズイの?」


少しふて腐れながら睨んでやった。


ビールを私の前に置いて、

「だって、たまにしか来ないヨウが連チャンなんか…有り得ねぇ」


「…いい…じゃん。別に…」

核心をつかれるんじゃないか…


そう思った瞬間、声が小さくなってしまった。


なんてバカな…。


余計怪しくなるじゃない。




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