Nightの誘惑
「ぷっ…」


…うっ。

笑われた。しかも、地味な感じに笑われたぁ…。


「なに、変な声だして。色気ねぇな〜、ヨウは。」

「どうせ色気ないもん!」


べーっ、と舌を出していじけてみせる。


マスターが余計なこと言うから…


俊介さん笑ってるじゃん。


「ヨウちゃん、次はなんにする?」


いつの間にか、元の表情に戻っていた俊介さんが、空になったグラスを奪う。


「う〜ん…」

飲みたいものあるんだ。


でも…なんか言えない。


見透かされるんじゃないかって、怖くなる。


考えすぎだと思うけど、なんでか深く考えてしまう…。


きっと…私の中に芽生えたある感情がそうさせてるんだ。


「ヨウちゃんは甘いのが好き?」


何を飲むか悩んでると思ったみたい。


俊介さんが笑顔で言葉を繋げた。





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