Nightの誘惑
「いらっしゃい。一人か?」


マスターのハイな声が一番に届く。


俊介さんと約束した週末。


わざと開店時間を少しずらしてきた。



だって、待ちきれません!的な感じがミエミエは嫌だから。


「ごめんね、マスター。一人だよー。」


苦笑しながらカウンターのイスにバックを置いた。


「なーんで謝んの。…なんか、らしくねぇぞ。」


グラスを拭きながら目を合わせる。


らしくない…か。


うん。


そうかもしれない。


最近の私、なんか変だもん。


「イロイロあってさ。彼氏と別れる決意をしたのよ。」


マスターに前にサラっと話した事があった。


過去にも一度別れようと悩んでた時に。


覚えてるかは分からないけど。






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