Nightの誘惑
「マジ?上手くいってたんじゃないの?」


そうだよ。


目の前に差し出されたメニュー表を、ぼんやりと眺めながら…


「だからだよ。上手くいってたから別れるの」


私の言葉に訳が分からないという顔をして、う〜んと考え出す。


きっと分からないよ。

だって、マスターは男だもん。


「考えたけどわからん」


ふふっ。

やっぱりね。


「あのね、上手くいって五年が過ぎた。どう思う?」


「…結婚?」


「当たり。普通ならそう思うでしょ?」


うん。と頷いてメニューを指さした。


あー。決まらない。


いつものことだけどさ。


「適当に作るか?」

「うん、お願い。」


「了解!」


腕まくりをして、くるりと辺りを見回す。





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