1センチの距離
「入学おめでとう!良かったら,あたし達のサークルに遊びにきてね」
チラシを配りながら新入生に声を掛けていく千夏。
「……ぁのっ」
「はぃ……っ!!」
声を掛けられ,振り替える千夏。
振り向いた先には2人の女の子。
「お久しぶりです,千夏先輩」
「ぇ……もしかして,杏ちゃんと棗ちゃん?!」
「はぃっ」
そこにいたのは,学祭で知り合った2人だった。
「ぇ,この大学に入ったんだ!?」
「はぃ」
棗が返事をすると,杏が話を切り出した。
「千夏先輩,あたし達サークルに入りたいんです」
「うんうん,どこか入りたいところあるの?」
知ってるところなら案内するよ,と千夏。
「千夏先輩たちのサークルにですよ!」
杏と棗が何言ってるんですかぁ,と言った。
「……」
暫しの沈黙。
返事がないことに焦る2人。
「……千夏先輩?」
「ぇ……えぇっ!!ホントに!?」
いきなり大きな声で言う千夏に驚く2人。
そして,その声に呼ばれるかのように嵐士と壱依が走ってきた。