1センチの距離
――駅前11時
休日ということもあってか,多くの人で賑わっていた。
「こんなに混んでたらはぐれそう……」
「行き先決めて,早く移動しようぜ」
「せやな……先ずはどこに行く?」
5人は待ち合わせした駅で合流すると,駅から少しずつ離れながら話し始めた。
「……とりあえず喫茶店にでも入らへん?」
「え,なんで?」
「どこ行くかも,ゆっくり決めれるやろ?」
「そぅだね,近くに喫茶店あったし入ろっか」
嵐士の提案により喫茶店に向かう5人。
「……棗?どぅしたの?」
「ぇ……?」
「顔色悪いけど……」
5人の最後尾でこそこそ話す杏と棗。
「ちょっと……人酔いしちゃって……」
「そぅなの?!……だから嵐士先輩,喫茶店に行こうって言ってくれたのかな?」
「……」
千夏や壱依と喋る嵐士を見る2人。
「単に嵐士先輩が疲れただけかもね」
「ぅん……」
そうこうしている内に,喫茶店に着いた。