パパはオネエ系
苦手の父親
俺、渋川 幸一(13歳 中学1年)の父親は、オネエ系だ。しかも、冗談っぽく女装するレベルでなく、カバちゃんや、IKKOのような真性の男好きのオネエ系であるからたちが悪い。こんな親父だから、年頃の俺としては、決して友達を家に連れてなんか
行けなく、最近付き合い始めた彼女の存在も、父親には言えないでいた。
父親 渋川 豪気(41歳 ゲイバー勤務)この名前は、お祖父ちゃんがつけてくれたらしく、豪快で、気力のあるたくましい男に育って欲しいと願ってつけたらしいが、間逆の人生を歩むことになってしまい、天国のお祖父ちゃんも、気が気でないだろう。
何故、ウチの母さん 渋川 美代子(38歳 主婦)と結婚したのか・・・これは本当に疑問だったので、直接母さんに聞いてみると、親父は単に子供が欲しかっただけらしく、そこに母さんの一目ぼれも重なって、結婚という間違った選択に至ったらしい。
母さんは母さんで、結婚する直前まで、親父がオネエ系ということに気づかず、そういえば、男性なのに、よく化粧していたようななんて、のん気なことを言う始末だ。
「お父さんって、氷室 京介みたいに格好よかったんだから・・・だから、何かのV系のバンドでもやってるんじゃないかって思ったのよねえ。」
結婚した後に、実はオネエ系と告白されて、思いっきりひっくり返ったらしいが、まあいいかと勝手にまとめたところも、実にのん気な、ウチの母さんらしいやと思った。
結婚して2年くらいは、夜の営みとやらが全くなかったらしく、ある夜、思い余ったウチの母さんが、親父に襲い掛かって、俺が生まれたそうである。年頃の俺に、そんな話をするウチの母さんも、たいがい天然だと思うけど・・・
「幸一は、女の子が好きなのよねえ?」食器を洗いながら、普通に聞いてきた母さんに、思わず飲んでいたコーラを噴きかけそうになった。
俺までが親父のDNAを受け継いでいたら、家庭崩壊もいいとこだ。父親と息子が2人で並んで、小指を立てながら内股で散歩していた日には、警察からの職務質問は、免れないだろう。
< 1 / 3 >

この作品をシェア

pagetop