幼なじみ卒業
私は千秋に何も文句が言えず、そのまま体育館へ走った。

体育館に着くと小春と真冬が私の側に駆け寄ってきた。

「ごめん。遅れて。」

私は二人にそう言って、頼まれた飲み物を渡した。

「じゃあ俺、時間ないからもう行く。」

真冬は買ってきたポカリを持って試合をやるコートに向かった。

「じゃあ私達は端で見てよっか!」

「あ、うん。」

私と小春は千秋達が見える所に座った。

そして笛が響いて男子のバスケの試合が始まった。

小春と話しながら試合を見ている時、隣で見ている四人の女の子達の話が耳に入った。

「東堂君って格好良いよねー。」

「川本君も凄いよねー。頭も良いし、勉強も出来るし。」

女の子達はきゃっきゃっとはしゃぎながら話す。

へー。千秋と真冬ってモテるんだ。

まあ、小・中学校の時もそうだったけど。

じゃあ千秋や真冬が好きな女の子は、私や小春が羨ましいと思ったりするのかな?

そんな事を一瞬考えた。

まあ考えたって「恋」のこの字が知らない私は分からないけど。

時間はあっという間に過ぎていった。

千秋達はこの試合も次の試合も制し、全勝した。

こうして初めての球技大会は幕を閉じた。









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