幼なじみ卒業
「いつも通りに・・・普通でいいよ。
 だって夏希からすぐに返事来るなんて思ってないし。
 だから、その、普通でいいよ。じゃないと調子狂う。」

本当にそうだ。

夏希が普通に接してくれないと困る。

だから告白の後も普通の夏希でいて欲しい。

「つまりその。普通ってどういう・・・。」

夏希は困った顔をして聞く。

「だあーからー!普通だよ。
 ていうかそれ告白してきた奴に聞く?」

「だ!だって、分からないよ!
 どういう風に接していいのかな?とか、いつも通りでいいのかなって。
 ここ二日ずっーと考えてたよ!?
 ご飯食べてる時だって、お風呂に入ってる時だって・・・。」

ああ、そうか。

夏希はずっと俺の事を考えていたんだ。

「はははっ!」

体の中の何かが蒸発していく。

笑いがこみ上げてきた。

「なっ!なんで笑うんだ!人が真面目に話してるのに!」

夏希は顔を真っ赤にして俺に言った。

俺は夏希の頭に手をのせて「笑ってない。」と言った。

やっぱり駄目だ。夏希が好きだ。

少しの間でも夏希はずっと俺の事を考えてくれた。

そんな夏希が愛おしい。

心からそう思う。

これは六月のこと。

もうすぐ夏が始まろうとしていた。
 


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