幼なじみ卒業

球技大会

季節は6月。

高校生になって初めてのイベントが今日。

「これから第42回、札幌四季高校の球技大会を行います。」

生徒会長らしき人の声が響く。

今日は球技大会。

イベント好きな私は昨日からワクワクして眠れなかった。

すごく楽しみ!

私がこの日をどんなに待ち望んでいたことか!

私は一番前で話している生徒会長に目を光らせた。

気合を入れよう!

そう思いながら、指の骨をぱきぱきと鳴らした。

「何でそんなに元気なわけ?」

隣に並んでいる千秋が耳のそばで私に聞いてきた。

千秋はだるそうに欠伸をする。

どうやら最初から参加する気はなさそうだ。

「元気に決まってるじゃん!球技大会だよ?」

「あんまり張り切らないほうがいいよ。」

千秋はクスっと笑って言った。

私は「何でよ。」と言って千秋を睨む。

「張り切りすぎるとすぐ脱落するから。」

私の頭の中でプチンと何かが切れる。

「私はね、千秋とは違うんだから。
 体育だって万年5だったし。中学は陸上部だったから足だって速いし。
 千秋なんかに負けないんだから!」

私は鼻息をフンっと鳴らす。

千秋は笑って私に言った。

「じゃあ、夏希が全勝したら何でもおごるよ。」

「・・・本当!?」

私は輝かせた目で千秋を見た。

それと同時に気分も明るくなった。

「本当だよ。俺嘘吐かないし。」

それは微妙に信じられないがなんでもおごってくれるのなら、頑張ってみようと思った。

「絶対!絶対勝つから!勝ったら欲しいもの全部買ってもらうからね!」

そう言うと千秋はクスっと笑った。

私が本気を出しているのに、動じないなんて。

なんだか正直少しムカつく。


 



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