幼なじみ卒業
一応運動は好きな方で得意。

だから頑張れば、勝つと思っていた。

だけどそんなに甘くはないみたい。

今さらこんなこと言っても遅いけど。

試合の結果は10-12の惜敗。

私はそんな結果にムカつきながら、体育館の隅に座っていた。

そんな私を小春が慰める。

「ま・・・まあ夏希!しょうがないよ。
 向こうは運動部たくさん居たし。
 現役だしさ。また来年に挑戦すればね!」

球技大会で負けると後は暇だ。

審判か応援しかやることがない。

私の予定では今日全勝して、千秋に欲しい物全部買ってもらおうと思っていたのに。

心の中で欲しい物リストを作っていたのに。

何もかもがめちゃくちゃだ。

「あれ?何してんの。こんな隅っこで。」

そんな声が聞こえて後ろを振り向くと、千秋と真冬がいた。

私は千秋の質問には答えず、プイっと顔を背けた。

そんな私を見て小春が代わりに答えた。

「あのね、実は一回戦で負けちゃって。
 すねてるというか・・・。」

「へー。夏希が・・・。」

真冬は私を見ながらそう言う。

私は立ち上がって言った。

「何か飲み物買ってくるよ。何がいい?」

別に飲み物なんて買う気じゃない。

だけどじっとしていると、何だか余計馬鹿にされそうで。

「あ、じゃあ私ウーロン茶。」

「俺はポカリで。」

真冬と小春から言われてお金を渡された。

「ち・・・千秋は?」

私は横目でチラッと千秋を見た。

「今はいいや。」

その一言だけだった。

私は自動販売機まで走った。



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