I and You
「ただいま」
一郎が笑顔で栄作に言う。
栄作は、何も言わずにリビングの食卓の椅子に座った。

食卓には妻の雅子が食事を終えて、食器のかたずけをしている。

「あら、今日は早い帰りなのね」
雅子が厭味たらしく言った。

クローンが食卓の椅子に座った。

「今朝、あなたは遅くなるって言ってたから、あなたの食事は用意していませんから、何か頼んで食べて下さい」
雅子があっさりと言った。

「そうか、それなら、自分で何か作るか」
クローンは、椅子から立ち上がりキッチンの冷蔵庫を開けた。

「何するつもり!? 」
突然の夫の行動に、雅子が驚いたように聞いた。

「料理って・・・・・・あなた作れるの? 」
雅子は、パック入りの牛肉を手にした一郎を見て不思議な顔した。

「あたりまえじゃないか」
と、クローンは笑顔で答えた。







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