I and You

頭痛

病院の屋上。

クローンが午前中の診察時間を終えてタバコを吸っている。
白衣の胸ポケットに入れてある携帯電話が鳴った。
クローンが携帯電話を手にした。
携帯電話は一郎から預かったものだった。
電話の相手は一郎だった。

一郎は空港の出発ロビーにいた。
公衆電話でクローンに連絡をした。

「うまくやれているか? 」
一郎が心配そうに聞いた。


「君に教えらていることを忠実にやっているよ」
クローンがタバコを吹かして答えた。

「そうか。今から彼女と一緒に北海道に行ってくるから頼んだぞ」
一郎が安心した様子で頼んだ。

「わかった。君がいない一週間は、仕事も家族も完璧にやるよ。それから、家族とはいい方向になるように努力しておく」
クローンが自信ありそうに言った。

一郎の横で良子が搭乗券を手にして待っている。

その姿を見て一郎は、
「そうか、期待しているぞ」と、言って慌てて受話器を置いた。

「それから・・・・・・」
クローンは、一郎に話しておきたいことがあった。

「牛乳のこと話さなきゃいけなかったのに・・・・・・」
クローンは、後悔したように独り言を言った。







< 17 / 67 >

この作品をシェア

pagetop