Ｉ and You

二人は、リビングのソファにさし向かえに座った。

「その後どうなんだ？　傲慢（ごうまん）な院長とその娘の奥さんとは、うまくやれているのか？　」
康夫が興味深く聞いた。

「最悪だよ・・・・・・妻なんて家に帰っても挨拶もしないんだ」
一郎が不満そうに言った。

「そうか・・・・・・婿養子っていうのも辛いものなんだな。それで、良子っていう女とは、どうなったんだ？　」

良子は一郎の愛人だった。

「妻と院長には、良子と別れたと言っている。でも、実際は別れた訳じゃないんだ。しばらく会うことをやめただけだ」

「良子っていう女は、それで納得してくれたのか？　」

「良子には、自分の立場を説明してわかってもらった。探偵に調べられて、妻や院長に責められたことや。良子と別れなければ、妻と離婚して病院を辞めてもらう条件をのんだことも・・・・・・」

一郎は悲痛な思いで言った。