I and You
「でも、良子っていう女のことは好きなんだろう? 」
「もちろんだ。今は、一緒に旅行に行く約束だけが、二人をつなぎとめているようなものだ・・・・・・」
一郎が溜息をつく。

「それじゃ、旅行に行ってくればいいじゃないか」
康夫が、そっけなく言う。

「えっ!?」
一郎が怪訝(けげん)な顔をした。

「おまえの苦悩の日々も、今夜で終わりだ」
康夫はにやけた。

「そ、それじゃ、出来たのか!? 」
「あぁ、ついに完成した」

「本当なのか? 」
「あぁ」
康夫が自信たっぷりに答えた。

「おい!入ってこいよ」
康夫が寝室に向かって声をかけた。
寝室は一郎が座っているソファの後ろにある。

寝室のドアがゆっくりと開いた。
一郎は座ったまま振り返った。









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