I and You
「良子は、今度の旅行が自分との最後の思い出にするつもりだったみたいだ・・・・・そのことを旅行の最後の夜に、良子から言われた」

「それで、君は納得したのか? 」
クローンは一郎の気持ちを聞いた。

「東京に帰って来て、二人でホテルで話しあったんだ。別れたくないことを告げて、良子を説得しょうと思った」

「・・・・・・」

「でも、結局ダメだった・・・・・・良子が言ったことに反論できなかった・・・・・・」
「どんなことを、彼女は言ったんだ?」

「これ以上あなたといても、幸せになれない・・・・・・あなたは仕事も家庭も捨てられない人だって・・・・・・」
一郎が、思い出したように寂しい表情をした。

「彼女からケジメをつけたんだな」
クローンが彼女の心境を言った。

「あぁ、そうだ。自分は現実を見ずに夢を見ていただけなんだ」
一郎が納得したように言った。

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