I and You
クローンは、康夫がアメリカに行った理由を話した。

「そうだったのか。だったら、君は康夫が帰ってくるまで、ここで待つしかないな」
一郎がクローンに指示する口調で言った。

「わかった」
クローンが頷(うなず)いた。

「それから、外には出ないことだな。自分と同じ人間がいることがわかると、ややこしくなるからな」
一郎が念を押すように言った。

「わかった。それから頼みたいことがあるんだ」
クローンが、リビングを出ようとした一郎を引き止めた。

「なんだ? 」
一郎が振り返った。

「君の家に頭痛薬を忘れたから、明日持ってきてくれないか」
「薬って、どこか悪いのか? 」
一郎が心配した。

「時折、頭痛がするから康夫から薬をもらったんだ」
「そうか、わかった。それだったら、ゆっくりここで休んでいるんだぞ」

一郎は、クローンから薬の置いてある場所を聞いた。
そして、明日別荘に来ることを約束する。




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