I and You
一郎が病院に出勤すると、待合室で大平が待っていた。
一郎の姿を見るなり大平が近づいて来た。

「先生、いろいろありがとうございました。今朝、いちばんにレントゲン機を入れさせていただきました」
大平が丁寧に礼をした。

「えっ!? 」
一郎は、大平の言っている意味がわからない。


「どうぞ、新しいレントゲン機をごらんになって下さい」
と、言って大平は一郎をレントゲン室まで案内した。

「どうですか?」
大平は、レントゲン機のそばに立った。

一郎は、クローンがやったことなのかと疑問を抱いた。
しかし、どうやって・・・・・・。
一郎は首を傾げた。

「残りの分のお礼は、また後日にでも」
大平は、一郎の耳打ち際で囁くように言った。

「なんだと! 」
一郎は思わず驚きで声を出した。
大平のニュアンスで、クローンが賄賂(わいろ)を受け取って機材を入れさせたことに気付いた。






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