Ｉ and You

暗室の部屋から、一人のパジャマ姿の男が現れた。
その男を見た瞬間、一郎は言葉が出ないほどの驚きだった。

「おまえのクローンだ」
康夫がパジャマ姿の男の横に立って言った。

「・・・・・・・」
一郎は何も言わずにクローンの正面に立って、じっと見つめた。
クローンも一郎の姿をじっと見つめる。

「こうやって見ると、まるきりそっくりだ。スーツ姿とパジャマ姿しか見分けがつかない」
康夫が感心するように言った。

一郎とクローンは、顔、体型、髪型までそっくりだった。

一郎は、鏡に映った自分の姿を見ているのと同じような感覚だった。
しかし、これは鏡の中の自分ではない。
遺伝子操作で出来た自分の分身である。
そう考えると不思議な気持ちだった。