I and You
昼休み、病院の屋上。

一郎は、携帯電話でクローンに連絡しようとした。
賄賂を受け取ったことを確かめたかった。

一郎は、賄賂のことが病院側に知れたら、自分の立場が悪くなることを恐れた。
そのため何度も携帯電話で康夫の別荘に電話をしてみる。
だが、連絡がとれない。
一郎は苛つくばかりだった。

屋上から診察室に戻る階段を降りた時、一郎の携帯電話が鳴った。
クローンからだと思い、急いで携帯電話をとった。

「おい! どうして出ないんだ!! 」
クローンだと思い、苛ついた感情を表に出した。

「何を怒ってるの?」
電話の相手は良子だった。

「えっ!? 」
良子からの電話で、一郎は平常心を取り戻した。

「どうしたんだ?」
一郎は、良子からの電話に疑問があった。

「今、近くにいるの。良かったら会えない? 」
「今って・・・・・・」

「会って話したいことがあるの」
良子は甘えたような声で言った。

一郎は、今は色恋事を考えている状況ではないと思った。
しかし、自分と寄りを戻す気持ちになったかもしれない。
そんな期待感を持って、良子に会うことを決めた。



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