I and You
一郎は、午後からの勤務を若手の医師に任せて、良子の待つホテルに向かった。
ホテルは、一郎が勤務する病院から近かった。

車を走らせて十分後にホテルに着いた。
あらかじめ良子から、部屋番号は教えられたいた。
フロントを通り過ぎてエレベーターに入り、部屋の前まで来た。

部屋をノックすると、すぐにドアが開いた。
一郎が部屋の中に入る。
良子は、ドアから離れて一郎に背中を向けた。

「良子、どうしたんだ?」
「・・・・・・」
良子は、白のパンツスーツ姿で背中を向けた。

一郎は、良子の背中を抱きしめた。
良子から甘い匂いがする。
良子は、何も答えずに厳しい表情だった。

「やはり、俺という男の良さがわかってくれたんだな」
一郎は、にやけながら言うと、
良子は、無表情で一郎の両手を振りほどいた。
そして、振り返り右手で一郎に平手打ちをした。

”ビシーッ”と、鈍い音がした。

「な、何するんだ! 」
突然の良子の行動に、一郎はあわてふためく。 







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