Ｉ and You
「何をするって、それは私が言うことよ！　あなたが、あんなことする人だなんて思わなかったわ！！　」

良子は怒りをぶつけるように言った。

「・・・・・・・」
一郎は、良子がなぜ怒っているのかわからない。

「これ、返しにきたの・・・・・・」
良子は、ハンドバックから茶封筒を取り出して、ベットの上に投げつけた。

「これでお別れね・・・・・・さようなら」
良子は、きっぱり言った後部屋を出て行く。

「おい！　良子！！　」
一郎は、良子を引き止めて理由を聞きたかった。
部屋の外で、良子の右手を掴んだ。
「やめてよ！　」
良子は、右手を振りほどき強く抵抗した。

ちょうどその時、清掃係の女性がロビーに現れた。
女性は、二人と目があった。
女性は、いけない光景を見たと思い目をそらした。

一郎は、女性の視線を感じたため良子の手を離す。
良子は、急いでエレベーターの中に入った。

一郎は、女性に対して体裁が悪いと思い部屋に戻ると、ベットの上の茶封筒が目に入る。
茶封筒の中を見ると、一万円札が束になっている。

現金を見た瞬間、クローンが賄賂を受け取ったことを思い出した。
クローンは、良子に手切れ金のつもりで現金を渡したのか？
そう考えると、余計なことをしたクローンに怒りを感じた。





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表紙・目次

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