Ｉ and You
「黙っているところを見ると、俺と同じ考えだということだな・・・・・・つまり、おまえは、女より社会的地位を選ぶってことだ」

クローンは語気を強めた。

「言っておくが、俺はおまえの分身だということ憶えておくんだな。俺はおまえが考えている影の部分を行動にしただけだ！　」

「嘘だ！！　俺はおまえみたいに金にも汚くもないし、良子のことも金で解決しようなんて思ったこともない！！　」
再び一郎は、クローンの胸元を両手で掴んだ。
そして、感情をはき出すように言った。

「そう思うなら、そう思っていればいい・・・・・・でも、おまえの考えていることは、俺にはわかるんだ」
クローンは、胸元を掴まれて苦しいそうに言う。

「勝手に言っていろ！！　」
そう言って、一郎はクローンの胸元を掴んだままソファに体を投げつけた。

「おまえは人間じゃない！　ただのヒトだ！！　」
一郎は、倒れこんだクローンに向かってどなりつけるように言った。

「・・・・・・」
クローンは、ソファで一郎に背中を向けたまま何も言わない。
小さな寝息が聞こえてきた。

一郎がクローンに近づく。
クローンは、酔い疲れて眠っている。





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表紙・目次

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