Ｉ and You
一郎の携帯電話が鳴る。
相手は康夫からだった。

一郎は、リビングのアルミサッシ付き窓を開けた。
窓下にあるサンダルを履いて中庭に出た。


「アメリカで何しているんだ？　ひょっとしたら金髪のおねぇちゃんと楽しくやっているのか？　」
一郎は、やけになっていた。そのため、電話の康夫に皮肉ぽく言った。

「何バカなこと言っている。何かあったのか？　」
康夫は、電話の声から、いつもとは違う一郎の様子が気になった。

「何があったかだって・・・・・・大有りさ。俺そっくりなバイオテクノの生命体が、俺とは違う人格になって好き勝手なことをやっている。おかげで俺は身の破滅になりそうさ！　」
一郎は、康夫に突っかかるように言った。

「そうか・・・・・・わかった。俺は今からアメリカを立つ。明日には帰ってくるから、それまで、クローンを別荘から出さないようにしてくれないか？　」

「出すなって言われても・・・・・・」
一郎は、中庭からソファで眠っているクローンを見た。
クローンが寝返り寝顔が見える。







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表紙・目次

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