I and You
「たぶん、考える余裕がなかったんじゃないか・・・・・・傷みから逃げたい気持ちが強くて思考能力を失っていたんだろう」

一郎は、クローンの行動を説明した。

「そうか・・・・・・」
康夫は、クローンのやすらかに眠っている表情を見て納得するように言う。

「しかし、君が作ったクローン人間を死なせてしまって・・・・・・もう少し自分が気にかけていたら、こんなことにはならなかったのに・・・・・・」
一郎は、すまなそうに康夫に言った。


「一郎、気にすることはない。正直なところ、クローンが死んで都合がよくなった」
康夫は安心した様子で言った。

「都合がいい!? それは、どういうことだ? 」
一郎が興味深く聞いた。




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