I and You
「気にするな。クローン人間は失敗したが、そのおかげで新しいビジネスが出来るようになった」
康夫は笑顔で一郎に答えた。

「新しいビジネス・・・・・・!? 」
「クローン人間を作る技術があるなら、犬や猫など、その他の生命体を作る技術などは簡単だ。その技術を使ってビジネスが出来る」
康夫は自信たっぷりに言った。

「つまり、死んだペットのクローンを作ったり、病気で臓器提供を求める患者の臓器を作って金にするってことか? 」
一郎がビジネスを内容を具体的に聞いた。

「そうだ。おまえも、そのビジネスを手伝ってくれないか? 」
康夫が仕事の協力を求めた。

「わかった。俺たちパートナーだからな。ところで、こいつはどうするつもりだ?」
一郎は、クローンの死体のことを気になって聞いた。

「こいつは、俺が始末しておく」
康夫は、クローンの死体を見て答えた。

「でも、クローン人間を作るのはあきらめたわけじゃない。また、いつか作る機会があれば、今度こそ成功してみせる」
康夫は、クローンの死体を見つめながら決意した。

「その時は、俺がおまえのクローンを作ってやるよ」
一郎は、康夫に向かって冗談ぽく言った。

一郎は、康夫の別荘を出た。
車に乗り込んで、運転席に座った瞬間、「ハァハァハァハァ」
今まで押さえていた感情をはき出すように、大きな声を出して笑った。








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