I and You
「クローン人間を作る研究は、極秘で他の国の学者がやっている。禁止されているからって、無断で研究しているのは、なにも俺だけじゃない」

康夫が冷ややかに反論した。

「禁止されているなら、有能なクローン人間を作って、実生活で問題なく適用できることを実証すればいいことだ」
康夫が、はっきり言い切った。

「大丈夫だ・・・・・・ おまえのクローンなら、かならず有能で成功できる!」
康夫が強い口調で一郎に賛同を求めた。

「この研究が成功したら、俺もおまえも医学界で認められるいいチャンスなんだぞ。俺は、名もない大学病院の医師とはサヨナラだ! そして、おまえは、肩身の狭い思いをしている婿養子の生活から逃げ出せることも可能なんだぞ」

康夫が強い意志で一郎を説得する。

康夫の思いが、一郎の心にも届いた。
「わかった。もう迷わない。俺もおまえと一緒に医学界の成功者になるため協力させてもらうよ」

「ありがとう」
二人は固く握手を交わした。







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