妖怪愛物語
庭へ出ると、来たときとなんの変わりも無い桜の木があった。
私が近づいていると、木の上から狐さんが降りてきた。
「待ってたぞ」
いつもと同じ笑顔を私へ向けてくれる。
でも、次に笑顔を向けるのは私ではなく桜さん。狐さんはきっと知らないんだろうけど。
「あのね、今日は蓮華に話があるの」
「何だ?行きたい場所でもあるのか?」
私は、首を横に振る。
「私ね、もう蓮華の知ってる私じゃなくなるんだ。次に会うときは、きっとそうなっているから・・・・さよならだよ蓮華」
「何・・・いってるんだ?」
「さようなら・・・蓮華」
そういった瞬間、私の周りは光と煙でいっぱいになる。