妖怪愛物語
「でも肝心な退治の仕方がわかんないと困るよね?えーっと桜?」
お母さんは私の言いたかったことを見事に言ってくれる。
でもやっぱり自分がずっと育ててきた娘の名前が変わったことに戸惑いを感じているようだ。
「えーっとそれに関しては、その場の流れ・・・?みたいな?」
えらいアバウトな説明でごまかそうとしている狐さん。
その場の流れって言われてもそんな私退治できる技なんて生憎持ち合わせていない。
「あぁ?狐?テメーふざけんなよ?」
お母さんはまるでヤンキーのような口ぶりでそういう。
「う・・・すまん」
気迫にやられて落ち込んでいると思いきや、急に目つきがするどくなった。
「桜殿!ちょっとわしについてきてほしいんじゃが」
「妖怪ですか・・・?」
「いいから!ちょっと借りていくぞ!」
手を引いて神社を出て行く狐さん。私はただ静かについていくだけだった。
「いってらっしゃーい」
さっきまでのはなんだったのかとつっこみたいとこだったけど、急ぎっぽかったのでいってきます、とだけ言っておいた。