妖怪愛物語




「・・・蓮華」


「あぁ」


又、2人の表情に曇りができた。


嫌な汗が流れる。何か邪悪なものが来ることを私も察した。


茂みの奥から聞こえる拍手。にじみでる殺気。



そんな茂みの向こうから誰かが出てきた。



その、出てきた人はさっきの櫂石達と同じく、目に包帯をしていた。


その人は、右目にだ。


でも、その包帯を長い前髪で隠している。その長い前髪の中の左目は、どこか寂しげな目をしている。

後ろの髪は長く、巫女さんのように縛っている。服は黒い着物だ。口にはキセルをくわえ、胸元には大きな扇子をさしている。



「影月・・・」



私も大体は察知できたけど、やっぱりこの人が・・・・。


見た目は、まるで陰陽師のようなのだが、身にまとうオーラがその見た目のイメージを消し去っている。



暗黒の澱んだオーラをしている。いかにも陰の神だ。








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