妖怪愛物語

神と狐




すると、狐さんは表情を歪めた。


「・・・狐さん?」


私は、問いかけるのだが、狐さんは心此処にあらずのようで、代わりに葉月さんが話しはじめた。


「・・・蓮華はね。昔、影月に恋人を殺されたの」


「・・・・!!だから、さっきも・・・」


そうか。


だから影月が来るまで冷静だった狐さんも出てきた瞬間表情に曇りが表れ、そして大声で怒鳴っていた。


そして、影月の強さを自分に言い聞かせるように、諭すように私に話しかけ・・・


そんな事も知らず、私は・・・


「ごめんなさい・・・」


知らぬ間に謝罪の言葉を口にしていた。


「何で、桜が謝るんじゃ・・・。悪いのはわしじゃ。昔のことをずっとずっと引きずって・・・。守らんといけないのに」


「・・・」


「わしは、怖いんじゃ。影月が。じゃから、さっきもあんな大声で、自分の恐怖心を隠して・・・。ほんま、最低じゃの」


「・・・・かです」


「・・・え?」


「狐さんは馬鹿です!!!」


私は、そういった。





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