妖怪愛物語



祠についた。たしかに、前のときと同じだった。


よかった。


でも、ひとつ違うところがあった。・・・・祠の前に誰かいたのだ。


「葉月さん・・・。」


「あぁ、誰かいるねぇ。・・・でも、そんな警戒しなくて大丈夫だよ。顔見知りだからね」


「・・・え?」


そこにいた人は、とにかく赤。全身赤。葉月さんは、緑。だけど、そのひとは赤。


「もしかして」


もしかして、火の神・・・?


「そのもしかしてだよ・・・まったく」


「おーー!!はつねぇー!!」


「『おー!!はつねぇー!!』じゃないよ!まったく。アンタって子はっ!」


そういい、葉月さんはその火の神をはたく。


お母さんみたい・・・


葉月さんにはたかれた少年は、ちぇ、と口を尖らせる。

でも、私がいることに気付いたのか、こちらを凝視している。


「・・・誰?」


闘志むき出しの顔をしてこちらを睨みつける。


「あ、退治屋の桜です」


普通に自己紹介したけど、よかったのかな・・・・・?






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