妖怪愛物語
ちなみに、お母さんは妖怪を見ることはできないらしい。そのくせ妖怪の話になると我先とすっとんでいく。
見えないって言っても気配と声は感じ取ることができるらしい。
「おーい、狐ー。いるんだろー?おりてこーい」
やはりお母さんは木の上の狐と話したいようで、狐の妖怪にそう向かって言った。
すると、その声に気付いたようで、狐の妖怪は降りて来た。
「貴様、わしが見えるのか?」
「見えません。が、声は聞こえます」
すごい・・・。妖怪と会話してる・・・
見える私でさえしゃべったことないのに・・・・。
「貴様はさっきのおなご!?」
私のことを言っているんだろう。たぶん。
だからやはりさっきは私のことを呼んでいたんだろう。
「この子は私の娘なのー」
娘の断りも無しに勝手に自己紹介しないでほしい。
「娘・・・。っ・・・あぁ!!おまえ、誰かににちょると思ったら・・・」
何かをひらめいたかのように狐の妖怪はぱっと表情を明るくする。
「金次郎に似とるんか!」