妖怪愛物語
死んだ。絶対、死んだ。
人間は水の中じゃ息できないもん。私、人間だもん!!!
「って、あれ?」
水の中にいるのに、息もできるし、普通にしゃべれる。第一、冷たくもなんともない。むしろどこか気持ち良い。
あったかい。この表現にぴったりな感じ。
「大丈夫、この水は人々の記憶。死んだ人間の思いが詰まってるから、どこか懐かしく、暖かい気持ちになれるんだ」
「そう・・・・なんですか」
「あー、でも意識をそらしたらだめ。その時代に吸い寄せられるから。気をつけて」
「へ!?は、はい」
知らない時代に一人ぼっちはさすがに悲しいので、意識を集中させ、空雅さんについていくことだけを考えた。