妖怪愛物語
近寄ってみると、心なしか少し小さかったが、全然変わっていなかった。
このときからもうここにあったんだね。
桜さんも私と同じようにこの木を見て育ったんだ。
私と同じようにここで狐さんと会って。そして、空雅さんと会って。
「狐さん・・・・」
ふと、そうつぶやいてしまった。何も思わず。本当に、ふと。そう、あのときのように。
なーんて、いるはずないか。と思ってそこを去ろうとした、すると。
「おい」
後ろから、聞いたことの有る声が聞こえてきた。