honey boy
というのは嘘で                                                                         店の前で抱きしめてる男、抱きしめられてる女。

すべてが恋人とは限らない。

でもはたから見たらそりゃもう恋人でしょ。

はっきり言って目立ってるわけでして。



みんなが羨ましそうに見てきて。


とにかく視線が痛い……。



『ちょっといいかげん離して。』


『じゃあ逃げない?』




『……うん。逃げないょ』


語尾が不自然に小さくなったので抱きしめる手の力が強くなった。


『嘘だね。逃げる気マンマンじゃん』

『逃げないからもう離してよ。恥ずかしい』


すると彼は私の耳元で囁いた。




『         』



カッと顔が熱くなった。今わたしの顔は真っ赤だと思う。


『先輩耳まで真っ赤~♪』

しっかりと握られた私の手を引きながら、彼は楽しそうに笑った。





















(『逃げたらお仕置きね』)


いつもと違う甘く低い声。





















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