honey boy
ガッと何かが私の手首を力強く掴んだ。



てか斉藤だった。



『ダメだよ逃げるなんて。忘れたの?』


可愛く言ってみせるけど、黒い!オーラが黒い!!



手首を掴む力は全然変わらない。



『逃げるって何?私もう帰るから』



放して と言いかけた言葉は斉藤に遮られた。




『俺の事好きになるまで放してやらない』




きっと私の顔は真っ赤で(@Д@#)←怒ったような困ったようなふしぎな顔をしていると思う。





『っっ放しなさいよ!』




『やーだねー』


けらけら笑って楽しそうな笑顔




さっきの偽者の笑顔よりずっといい。




怖かったのは、瞳を逸らしたのは、斉藤が本当に笑っていたわけじゃないから。









男として意識したわけじゃ ない。
















『っていうかお金払ってきた?まさか食い逃げ!?』




『いやちゃんと払ったし。』



きっぱりと言う斉藤にホッと安心する。



あれ?いつ払った?すぐ私を追いかけてきたし…



まぁ…うんまぁいいや気にしちゃあ終わりな気がするヨ☆










『てか俺の事斉藤、斉藤呼ぶのやめてくれない?』



『なんで』



『…違う斉藤さんが振り向くから。』


『ふ~んじゃあどうすればいい?』




『……いつきって呼べよ』

あ・こいつめんどくさそうな顔しやがった!!



『…わかったよいつき』








本当はただ名前を呼んで欲しかっただけ。


こういう時だけ、こいつにだけ俺の可愛いモードは通じない。



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