紅蓮--Requiem--
辺りは静まりかえっていたが、その沈黙は玲の言葉で解かれた。

「絶対にワナだよ。おびき出そうとしてるんだ。いかない方がいいよ。」

私は彼女に反論する。

「いや、大人しく従った方がいいよ。人を平気で殺せるくらいだもの、さっきのが脅しだけだとは思えない。玲はそう思わない?」

「…わかった…、沙耶が言うなら納得できる。私、沙耶の考えに従うよ。みんなは?」

玲は私の目をしっかりと見てそう言った。

「観紗も、沙耶さんに命を預けます。観紗のことなら好きに使って下さい。」

観紗はそう言ってピースをした。

「ウチも、沙耶に従うで。何でも言ってくれたらええよ。ここには沙耶を信じてる奴しかおらへんから。」

「ありがとう。それじゃあ、お言葉に甘えるね。私はまず、ここから北の放送室に行こうと思ってる。生存者がいるかもしれないから、全員集めるの。仲間はたくさんいたほうがいいでしょ。距離もたいしてないし、ハデスの命令に従うならそれからでも遅くないと思う。」

「オッケー。ほな、放送室に行こ。放送部の部長はん。」

彩華の言うとおり、私は放送部の部長である。そのため、放送室の鍵は私が持っていた。

「うん、行こう。」

私たちは、放送室に向かった。
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