紅蓮--Requiem--
 放送室前に着くと、私は意を決してドアを開ける。鍵はかかっていないようだ。

ガチャン。

扉の向こうは、もぬけの殻だった。

「誰もいないね。ちょっと安心しちゃった。」

玲はそう言うと、胸を撫で下ろした。私は、放送用マイクにスイッチを入れ、声を吹き込む。

「慌てずに聞いてください。私は、2年A組の葛城 沙耶です。この学校には今、大変な事件が起きています。もし、生き残っている人がいるのなら、今すぐ放送室前に来て下さい。一緒に行動しましょう。」

私は言い終わると、ほっと息をついた。

「一応、呼んではみたけど、来てくれるかわからないよ。信じてくれるかどうかもわからないし。」

「生き残ってる奴がおればええけど…。」

彩華は、そう呟いた。

少しの時が過ぎると、 廊下から足音が聞こえてきた。どうやら、一人ではないようだ。

足音はだんだん近づいてきて、ドアの前で止まる。

ガチャンという音とともにドアが開くと、2人の男子生徒が入ってきた。
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