紅蓮--Requiem--
「放送聞いて駆けつけたよ。」

そう言ったのは、2ヶ月前にこの学校に転入してきた、2年C組の新羅 喬哉(シンラ キョウヤ)。

明るく、真面目な生徒だが、転校の理由だけは、口を開こうとはしない。それでも、みんなに優しい性格の為、彼のクラスの信頼は厚い。

彼の後ろで黙っているのは、クラスメイトの天宮 翔(アマミヤ ショウ)だ。彼は俗に言う不良だが、誰かに危害を加えるわけでもない。

彼は一人で居ることがほとんどで、人の多い教室にいることは、珍しいほどだ。

しかし、不良と言っても、クールでルックスも良いため、女子からの人気は高い。

「2人とも、どうやって生き残ったん?」

喬哉は、真剣な表情で答える。
「先生に頼まれて、教材を取りに資料室に行ったんだ。それで、帰ってきたらこのあり様でさ…。怖くなって教室から出たら、ばったり翔に会ったんだ。翔は授業をサボってたらしい。さっきの不気味な放送を聞いて、犯人を突き止めるために放送室に行こうとしたら、沙耶の放送が流れたってわけさ。」

喬哉が話し終え、私が一緒に行動するよう2人に言うと、喬哉は穏やかな表情で言う。

「人数が多い方が安心だよね。わかった、そうさせてもらうよ。」

「私はハデスの言った通り、東塔の地下に行こうと思ってる。」

「わかった、僕たちも一緒に行くよ。早く行こう。」

私達は、急いで東塔に向かった。
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