紅蓮--Requiem--
「あれを見てください。」

観紗の言葉を聞き、私達はその方向を見る。
そこには、掛け時計があった。
それは、普段見る物とは形が少し違った。

「時計?」

喬哉の問いに、観紗は答える。

「恐らく、タイマーです。」

「タイマー!?」

観紗の答えに、私たちは驚愕した。

「はい、ハデスは制限時間があると言っていました。恐らく、何らかの形で制限時間を知らせる物が、各部屋にあるはずなのです。」

「それがこの時計ってわけなん?」

彩華は時計を指差してそう言った。観紗は黙ってうなずく。

「それじゃあ、この部屋はあと3分しか持たないってこと!?」

玲の言葉に皆は焦り始めた。

「考えてる暇なんてない。行くしかないんや。」

「はい。幸いにも、ここには処刑器具はありません。ここがスタートということでしょう。」

「と言うことは、この部屋では誰も死ななくて良いってことだね?」

喬哉がそう言うと、皆は安心したように溜め息をつく。

「行くしかないんだよね…。」

「行こう。そして、生き延びよう。」

私たちは、重い扉を開けた。
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