紅蓮--Requiem--

　玲と話していると、教室の真ん中あたりから誰かの声が聞こえてくる。

「委員長ー。助けてやー。」

私に助けを求めたのは、同じクラスの蓬莱 彩華(ﾎｳﾗｲ ｻｲｶ)。委員長というのは私のことである。私は、このクラスの委員長を任されているのだ。

「アイツら、このウチにちょっかいをかけてくるんや。」

どうやら、クラスの何人かの男子が、彼女に何かちょっかいをかけたらしい。
とは言っても、彼女はクラスの中でも気が強いほうだ。私なんかに助けられなくても、十分返り討ちにすることができる。

私に頼んだのは、おそらく、その男子達をからかうためだろう。

「君達。女の子をいじめたらダメだよ。」

「は、はい！わ、わかりました。」

彼らはおどおどしながらもそう言うと、教室から逃げ去っていった。

「蓬莱！覚えてろよっ！」

彼らは去り際に、彩華にそう言った。

「いつでも来やがれぇー！」

彩華の企みは、どうやら成功したらしい。

「彩華。男の子からかってはダメだよ。」

「スマン。アイツら、しつこくてなぁ。前に、沙耶のこと気になってるって言うとったから、ちょっと精神的ダメージを与えられるかと思ったんや。お詫びに何でもいうこと聞くから、な？な！？」

「もう。しょうがないなぁ…。それなら、ちょっとついて来て。職員室に用事があるから。玲も手伝って。」

私たちは、職員室に向かった。