紅蓮--Requiem--

3

 保健室では、既に一人の生徒が手当てを受けていた。

「観紗ちゃん。今日はどうしたの?」

彼女の名前は那波 観紗(ナナミ ミサ)。生まれつき体が弱く、体調を崩しやすい。そのため、保健室にいることも多かった。女子の中でも小柄で可愛らしく、性格も良いため、人に好かれやすい。

彼女は、目上の人にはもちろん、友達や後輩に対しても丁寧な言葉を使う。彼女曰く、その方が違和感がないのだそうだ。

私はもう慣れたので、特別な違和感はない。彼女は幼く見えるので、その方が自然に見えてしまうのだ。

「沙耶さん、こんにちは。少し頭が痛いので、ここで休ませてもらっています。沙耶さんは、どうしましたか?」

相変わらずキレイな言葉である。
「ちょっと手首を変についちゃって…。」

私は苦笑いをしながら言った。

「捻挫ですか、痛そうですね。先生、私はいいので、沙耶さんの手当てをして頂けませんか。」

自分のことより先に、人の心配をしてくれるような、とてもよい子なのだ。

保健室の先生は、包帯を取りに倉庫に行くと告げて、保健室から出て行った。
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