99通目のラブレター
女の子らしい、少し丸みを帯びた字やった。
せやけどその字は繊細で、綺麗で、俺は手紙を読み終えた後もまじまじとそれを見つめてた。
自分の書いた手紙に返事が来たことが、なんやほんまに嬉しくて、俺の頬は自然と緩んでた。
手紙ってええなあ、素直にそう思った瞬間やった。
携帯のメールじゃわからん、文字の感じとか、伝わる雰囲気とか、手紙やとそれをえらいリアルに感じた。
「おかーん!なんか便箋ないー?」
俺はすぐ返事を書こうと思った。
今度はちゃんと、封筒に入れて送ろうと思った。
「なに、あんた。文通でもしてんの?」
「んーまあそんなとこやな」
おかんに渡された便箋を受け取って返事をしたら、また嬉しそうに笑ってる、なんて言われた。
「相手女の子やろー?あんたの隅に置けへん男やなあ~」
「うっさいわ!」
「あっは、顔真っ赤やで?」
おかんはけらけら笑って、俺の頭をくしゃくしゃっと撫でた。
それがなんやくすぐったくて、俺も一緒に笑った。
心はどこか、穏やかやった。