99通目のラブレター
目の前の現実
外へ出れば、木々が色づく季節になっとった。
冷たい風が頬を撫でる。
俺はマフラーに顔を埋めた。
「さっむー…」
思わず声にしてまうほど、11月に入ってからの気温の変化は激しかった。
こういうのを感じると、時の流れを同時に感じる。
もう、今年も2ヶ月を切ってるんや、としみじみ思った。
教室へ入ると、机の上に進路希望用紙なるもんが配られてた。
俺はその、第一希望から第三希望までの空欄をぼうっと見つめてた。
正直、高校はサッカーの強いとこへ行くつもりやったし、
それももちろんスポーツ推薦で行くつもりやった。
せやけどもう、その夢も打ち砕かれてしもた。
忘れてたわけとちゃうけど、
進路希望の紙は、急に俺を目の前の現実に引き戻した。