青春ロリポップ
@エピローグ
ある暖かくて心地のよい日のことだった。
わいわいと子供たちの笑い声があふれるなか、なにやら険しい顔した少女と面倒くさそうに眉をしかめる少年の姿があった。
「あおくんの、ばあか!」
「はいはい」
「あおくんの、あほ!」
「それで?」
一方的に悪口をぶつける少女だったが、少年のクールぶりに思わず、うっと声をもらす。
「あおくんの、あおくんの……え、と、ばかっ!」
「ばあか、それ、さっきも聞いてんねんけど」
ふっ、と馬鹿にしたような笑いに少女が、またギャーギャーとさわぎだす。
「もうっ、せっかく人が心配して皆と遊ぼうって言ってるのに!」
「うるさい、迷惑や」
「だって、いいの?あおくんだって、ありすいがいにも友達ほしいでしょ?」
それに対して再び、ふんっと鼻をならした。
「べっつにー」
「えー、なんでよ」
「だって僕は、ありすさえいてくれればええねん」
はたから見るとそれは告白にも思えるが、まだ幼い2人は互いにその気もない。
現に少年も、しれっと平気な顔で言ったし少女も普通にサラリと聞き流している。
「ふぅ、しらないからね?」
「ん」
「……じゃあ、しょーがないから、ありすがあおくんの側にいてあげるよ。ずっとね」
「ふーん、約束やで?」
「うんっ、指切り」
ふふっと少年の指と自分の指を絡めて、微笑む。
その笑顔を見て、この日はじめて少年も、にっこりと笑顔を見せたのだった。