科学部恋愛
もしかして……
「あっ矢野先輩」
扉を見ながら郁斗はそう言って
携帯の画面から目を離した。
矢野?
あたしも目を向けると、
そこにはひょこっと顔を出した
矢野の姿があった。
「やっほーう、元気?」
「矢野…どうしたの?」
元科学部の先輩であって、
あたしの元カレでもある…
矢野友明といって、
皆からトモか矢野先輩、矢野。
付き合っていた頃は、
何も考えずにトモと呼んでたが
別れてからはずっと、矢野。
矢野はずっと、莉世。
付き合ってた時と何も変わらない。